住宅業界の広告は、ここ30年で環境が大きく変わりました。以前は見込み客リストを1件入手するのに約3万円かかっていた時代もありましたが、最近ではそのコストが10万円にまで跳ね上がっていると言われています。
広告制作環境は整ったのに…パソコンと制作ソフトの普及、ネット注文による印刷の低価格化、そしてSNSやスマホを活用したPR…。広告を「制作」する環境は整い、住宅会社でも社員が直接原稿を作るケースが主流になっています。外注するにしても、発注先は広告代理店や制作会社、印刷会社などが一般的です。
それでも変わらない“定番広告”。住宅会社の広告の多くはどうしても完成見学会が中心。これは仕方のないことだと思う。原稿内容は殆ど5W1H(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)だけで構成されています。販売目的なら価格の要素が追加される。差別化要素や自社の強みはホームページで祖ほくするような指示にとどまるケースが殆どです。
差別化の“切り札”が消えた。かつては高気密高断熱、ZEH基準、C値などが他社との差別化要因として機能していました。しかし2025年の建築基準法により、これらは「当たり前」となり、もはや競争優位性にはなりませんね。
ビジュアル頼みの限界。こうした状況では広告は見た目になり、原稿内容の中味は他社のものとは殆ど変わらなくなります。極論すれば、会社名を差し替えればそのまま他社が使えるような広告が溢れているのです。
次回はこの続きとして、なぜ住宅会社の広告から差別化要素が抜け落ちるのか?そしてどうすればオリジナリティある広告が作れるのかを掘り下げます。